In 2006 1 26

 また、「元素」(富永裕久著)という本から、話題を取り上げましょう。
日本は、資源小国か。
いや、違うと思います。
 元素記号In(インジウム)という元素があります。
この金属は、液晶パネルに不可欠な元素です。
 インジウムの酸化物は、電気を通し、加工しやすいだけでなく、
何と、透明性が高いのです。
そういうわけで、液晶パネルの「透明導電膜」には、
インジウムの酸化物が使われているのです。
 ところで、世界最大のインジウム鉱床は、どこにあるか。
それは、意外なことに、日本の札幌にあります。
札幌郊外にある豊羽鉱山が、世界最大のインジウム鉱床です。
 しかし、その豊羽鉱山も、閉山の予定と書いてあります。
なぜかというと、日本では、人件費が高いので、
外国から、インジウムを輸入した方が、割安となるからです。
(「元素」184ページを参照)

Pd 2006 1 9

 以前、水素吸蔵合金(2005年8月3日)という記事の中で、
「合金によっては、自分の体積の1000倍以上の水素を吸蔵するものが、
いくつか、あるのです」と書きましたが、
多くの人は、そんな不思議な金属があるのかと思ったでしょう。
 そこで、合金ではありませんが、そういう金属(元素)を紹介しましょう。
それは、元素記号Pd(パラジウム)です。
パラジウムは、自分の体積の900倍以上も水素を吸収します。
しかも、混合気体から、水素だけを選択的に吸収するのです。
 こういう興味を引く「おもしろい話」は、よく元素の本に書いてあります。
しかし、問題があったのです。
こういう科学書は、あまりに値段が高くて、紹介しにくいと思っていたのです。
たとえば、「元素の事典」(馬淵久夫編)は、7800円、
「元素の百科事典」(John Emsley著)は、15000円にもなります。
 こういう本は、専門家向けだけでなく、
高校生の参考書として、あるいは、一般の人の教養書として、
使えるように、わかりやすく書かれています。
しかし、本の値段が、一般の人向けではありません。
 さて、最近、一般の人向けの「元素の百科事典」と呼べるような本が出版されました。
それが、「図解雑学 元素」(富永裕久著)で、1500円です。
 この本は、元素別に書いてありますので、興味を持った元素だけ「拾い読み」できます。
さらに、「エピソード」や「歴史のミニ知識」が豊富で、おもしろおかしく読めます。
しかも、データも掲載されていますので、専門家も使える本となっています。
 この本より、もう少し専門的な本が欲しいと思ったら、
「元素を知る事典」(村上雅人編)(3000円)が、お薦めです。
この本も、「エピソード」や「ユーモア」が豊富です。

水素吸蔵合金 hydrogen storing alloy 2005 8 3
 最近、水素エネルギー社会という言葉を、よく聞くようになりました。
ところで、水素は、どのように保存や保管するか、ご存じでしょうか。
 たいていの人が、ボンベに入れて、保管すると答えるでしょう。
確かに、そういう古典的な方法がありますが、
現代では、金属(合金)のハイテク技術によって、別の方法があるのです。
 それが、水素吸蔵合金のことです。
これは、文字どおり、水素を吸蔵する合金なのです。
こうした合金は、混合気体から、水素だけ、選択的に吸収し、
合金内に貯蔵するという働きをするのです。
 驚くべきことに、合金によっては、
自分の体積の1000倍以上の水素を吸蔵するものが、いくつかあるのです。
 まだまだ、水素吸蔵合金の分野は、発展途上にあります。
ですから、さらに驚くべき合金が、開発されるかもしれません。



































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